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胡蝶の夢
第6章 腐蝕
もしも…。
もしも、思い通りに動く可愛いお人形がある日、裏切ったらどうだろう?
所有物だと思っていた従順なペットが突然牙を剥いたら?
血を流しながら悔しがる黒崎を想像して笑みが溢れる。
計画は虎視眈々と、弱い場所から切り崩し蝕んで…。
そうか。
僕は立ち上がりドアを開けた。
「なにしてるの?」
扉の向こうに声をかけた。
まだ帰っていないはずだ。
扉を挟んで反対側に確かに誰かの気配がある。
「………」
言葉を選んでいるのか、それとも答える気がないのか、無言の時間が過ぎた。
この時間が永遠にも思える。
待ち遠しい答えまでの時間。
いくら空白が過ぎても、それでもじっと待ち続けた。
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