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胡蝶の夢
第6章 腐蝕
ぐぃと手を引いて彼女を抱き寄せ、耳元で囁いた。
「じゃぁ、今の君は誰のもの?」
形の良い綺麗な耳。
そしてその下に続く首筋へと指でなぞると、彼女は肩を上げて身を固くした。
頬が赤く染まっている。
「もしも流れ出た血液さえ僕ら自身なら、この血の海の中で君と僕は繋がった。赤い血が溶けあって混ざりあって、境目の曖昧な世界で染まる色だけが真実…」
白いドレスの襟元をはだけて、首筋から続くなだらかな肩の曲線をくすぐる。
「んんっ…」
耐えきれずに洩れた声。
声がもっと聞きたい。
意地悪してやりたい。
もっともっと啼いて、僕に反応して。
僕の存在を証明して…。
当初の目的さえ忘れる倒錯。
僕は彼女に何を求める?
復讐のために罰をくだしたいのか?
それとも…。
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