この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
それが運命の恋ならば
第5章 真実の口
「…母さん…」
禅が戸惑うように声を掛けた。
凪子は思わず禅の母、いとの前に歩み寄った。
「…あの…。
いとさんは、高遠様のことをご存知なのですか…?」
…この家では禁句とも言えるその名を、禅の母親の口から聞いた衝撃…。
だから尋ねてしまったのだ。
このひとは、何か知っているのかもしれない…と。
いとはしみじみとした懐かしいような表情すら浮かべ、頷いた。
「…はい。よく存じております…。
…そのお目元や高貴な雰囲気…。
…やはり血は争えませんね…」
まだ見ぬ父親に、よく似ていると言われた嬉しさに胸が一杯になる。
「…まあ…」
そんな凪子を優しく見つめ…やがて、禅の方へと向き直った。
「…禅。
凪子様と二人きりにしてもらえませんか。
…どうしてもお聞きしたいことがあるのです」
それは、柔らかな物言いの中に、強い意志を秘めた言葉であった。
禅が戸惑うように声を掛けた。
凪子は思わず禅の母、いとの前に歩み寄った。
「…あの…。
いとさんは、高遠様のことをご存知なのですか…?」
…この家では禁句とも言えるその名を、禅の母親の口から聞いた衝撃…。
だから尋ねてしまったのだ。
このひとは、何か知っているのかもしれない…と。
いとはしみじみとした懐かしいような表情すら浮かべ、頷いた。
「…はい。よく存じております…。
…そのお目元や高貴な雰囲気…。
…やはり血は争えませんね…」
まだ見ぬ父親に、よく似ていると言われた嬉しさに胸が一杯になる。
「…まあ…」
そんな凪子を優しく見つめ…やがて、禅の方へと向き直った。
「…禅。
凪子様と二人きりにしてもらえませんか。
…どうしてもお聞きしたいことがあるのです」
それは、柔らかな物言いの中に、強い意志を秘めた言葉であった。