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それが運命の恋ならば
第6章 新たなる運命
「彼は外科部長の飯嶋教授に、なんとか凪子との仲を取り持ってもらえないか、私に口添えしてもらえないかと拝み倒したそうだよ。
…どうやら君に交際を申し込みたいらしい」

「…まあ…」
凪子は困ったように長い睫毛を瞬かせる。

「本田先生は優秀で見所のある医師らしい。
大学時代から飯嶋教授の愛弟子だそうだ。
人付き合いもスマートで、見た目もなかなかにハンサムだから、女性たちにも人気があるらしい。
どう?凪子」
…別に本気で後押しする気はなかった。
折角親子になれて、手術も成功したのだから、暫くは二人きりでのんびりと暮らしたい。
他人に邪魔はされたくはなかった。
…ただ、少し聞いてみたいのだ…。
この美しい娘の、本当の心の内を…。

いたずらっぽく尋ねる泰彦に、凪子は困ったように微笑んだ。
「…そんな…。
私は離婚されたばかりの女ですよ…」

「気にすることはない。
離婚など、今や日常茶飯事だ。
私も現にしているしね」
戯けるように肩を竦める泰彦に、そっとガウンを着せ掛けてくれた。

「…それはそうですけれど…」
寂しげに長い睫毛を伏せると、白雪のような肌に微かに影が落ちた。
そうして凪子は、呟くように答えたのだ。

「…私はもうどなたとも結婚する気はありません」
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