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それが運命の恋ならば
第6章 新たなる運命
華奢な後ろ姿と仄かな儚げな花の薫りを残して部屋を辞した娘を見送り、泰彦は一之瀬李人のことに思いを馳せる。
前妻の策略で、朱音のもとから半ば盗み出され、隠し続けられていた娘の存在を聞き出したのは最近のことだった。
その娘、凪子が雪乃の息子・李人の妻になっていると聞き、すぐ様に連絡を取った。
かつて自分が心底愛し、哀しい別れを余儀なくされた忘れえぬ美しいひと、雪乃…。
その雪乃の息子が探し続けていた我が娘を妻にしていたのだ。
まさかそのような偶然があり得るのだろうかと、泰彦は半信半疑であった。
李人は、凪子が泰彦の娘であると承知していた。
その上で、凪子に会わせるつもりはないと、けんもほろろに突っぱねた。
「貴方に会わせる訳にはまいりません。
凪子は私の妻です。
凪子の運命はすべて私の掌の中にあるのですから」
電話口から聴こえる笑った声は、冷ややかだった。
そうして、こう告げたのだ。
「…私は貴方に復讐するために、凪子を探し出し、娶ったのです。
凪子をどうしようと私の勝手だ。
自業自得でしょう?
…貴方がしでかした私の母への卑劣な仕打ちを、今更ながらに思い出すがいい…!」
そう腹立たし気に告げると電話は切れたのだ。
前妻の策略で、朱音のもとから半ば盗み出され、隠し続けられていた娘の存在を聞き出したのは最近のことだった。
その娘、凪子が雪乃の息子・李人の妻になっていると聞き、すぐ様に連絡を取った。
かつて自分が心底愛し、哀しい別れを余儀なくされた忘れえぬ美しいひと、雪乃…。
その雪乃の息子が探し続けていた我が娘を妻にしていたのだ。
まさかそのような偶然があり得るのだろうかと、泰彦は半信半疑であった。
李人は、凪子が泰彦の娘であると承知していた。
その上で、凪子に会わせるつもりはないと、けんもほろろに突っぱねた。
「貴方に会わせる訳にはまいりません。
凪子は私の妻です。
凪子の運命はすべて私の掌の中にあるのですから」
電話口から聴こえる笑った声は、冷ややかだった。
そうして、こう告げたのだ。
「…私は貴方に復讐するために、凪子を探し出し、娶ったのです。
凪子をどうしようと私の勝手だ。
自業自得でしょう?
…貴方がしでかした私の母への卑劣な仕打ちを、今更ながらに思い出すがいい…!」
そう腹立たし気に告げると電話は切れたのだ。