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それが運命の恋ならば
第7章 その薔薇の名前は
「…凪子。
済まないが、これからお使いを頼まれてくれないか」
朝食を終えた泰彦がのんびりと口を開いた。
「退院お祝いをいただいたお返しを、まだ渡していないひとがいたのだよ」

父がそのようなことを自分に頼むなんて、珍しいな…と思いながら、凪子は微笑んだ。
「ええ。もちろんですわ。
どちらに伺えばよろしいのですか?」

「…松濤にある高遠千晴という青年の家だ。
我が一族の中で、一番本家に近い血筋のものでね。
…それはそれは美しいイングリッシュガーデンを所有している。
今頃は庭園の薔薇が見事だろう。
…ゆっくりしていって彼に案内してもらうと良い」

…もっとも…。
と、泰彦は愉しげに笑った。

「千晴はどちらが薔薇の精が分からないような、優雅な美男子だがね…」
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