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それが運命の恋ならば
第7章 その薔薇の名前は
「…千晴様のところにいらっしゃるのなら、もう少しお化粧は濃くした方がよろしいですわね。
お化粧をさせていただきます。
お召し物は…やはりお着物になさいますか?
凪子様はお着物を着慣れていらっしゃいますからね。
丁度旦那様が京都の呉服屋で作らせた、綸子縮緬の京友禅が届いたばかりでございますよ。
薔薇の模様がそれはそれは美しいお着物なのです。
…ああ、でも、洋装もお似合いになられますからね。
この菫色のオーガンジーのドレスも凪子様にはよくお似合いですし…。
迷いますねえ…」
家政婦の律はいつになくそわそわと、凪子の支度に取り掛かる。

「…お使いに伺うだけでしょう…?
そんなに着飾らなくても…」
おずおずと尋ねると、
「そうですけれどね。
千晴様にお会いになられるのなら、話は別です」
きっぱりと、分かったような、やはりよく分からないような回答をされたのだ。
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