この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
それが運命の恋ならば
第8章 その薔薇の名前は 〜千晴の告白〜
「政彦さんが婚約者を?」
千晴は温室の薔薇の手入れの手を止めずに、家政婦の七重の言葉を鸚鵡返しした。

「今月にこちらのチャペルでお式を挙げられるので、ご一緒にご挨拶にいらしたそうです」

千晴の住む屋敷の奥には古いチャペルがある。
明治の頃、建築家であり熱心なクリスチャンだった先祖が建てたそれは、一族の結婚式に時折使われるのみで、普段はひっそりと林の中に佇むだけの場所だけれども…。

「ふうん。それは良かったね」
生返事で答え、薔薇に水遣りを続ける。
はっきり言って、年上の政彦の婚約者になど興味はない。
二宮政彦は中学受験の際に家庭教師を務めてくれたし、優しい性格の物静かな青年だ。
決して嫌いではない。
けれど、その婚約者に会うのは些か億劫だった。

…母様のガブリエル、今年も綺麗に咲いたな…。
千晴は安堵から微笑む。

白薔薇はどれも気高く美しいが、ガブリエルは特別だと千晴は思う。
この天使の名前の薔薇は、神秘的で辺りを払うような気品があり、それでいてどこか、ひんやりと官能的であるのだ…。

「…その婚約者の方ですが…」
珍しくわずかに高揚したように七重が口を開いた。
ポーカーフェイスが常の七重には稀なことだ。

「うん?」

「…亡くなられた奥様に、生き写しでいらっしゃいます」

千晴の手のひらの中で、ガブリエルがふわりと揺れた。
/349ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ