この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
それが運命の恋ならば
第9章 その薔薇の名前は 〜ローズガーデンの恋人たち〜
「…それからは、お会いしてもはぐらかされてばかりです。
紫織さんは、相変わらず色恋沙汰の噂の絶えない方で…。
愛人や恋人の影は数え切れない。
紫織さんを巡って刃傷沙汰の事件が起こるほどです…。
一族の中ではゴシップの女王とまで囁かれました。
…まだ大人になりたての私はくよくよ悩みました。
紫織さんの気持ちがわからなくて…」
長い告白を終え、千晴はため息を吐いた。
…今もずっと分からない…。
そう苦しげに呟いた。
「でも…千晴様は紫織さんを愛していらっしゃるのでしょう?
今までずっと…」
おずおずと尋ねる凪子に、やや弱々しい笑みをその端麗な貌に浮かべる。
「…ええ。
愛していました。
…けれど、最近は…よく分からなくなってきました…。
紫織さんの気持ちはもとより、自分の気持ちも…。
…というか…少々疲れてきたのです。
報われない恋をいつまでも追いかけるのに…」
…そうして、ゆっくりと傍らの凪子を美しい琥珀色の瞳でじっと見つめた。
「…私も、そろそろ新しい恋に踏み出すべきなのかもしれません…」
紫織さんは、相変わらず色恋沙汰の噂の絶えない方で…。
愛人や恋人の影は数え切れない。
紫織さんを巡って刃傷沙汰の事件が起こるほどです…。
一族の中ではゴシップの女王とまで囁かれました。
…まだ大人になりたての私はくよくよ悩みました。
紫織さんの気持ちがわからなくて…」
長い告白を終え、千晴はため息を吐いた。
…今もずっと分からない…。
そう苦しげに呟いた。
「でも…千晴様は紫織さんを愛していらっしゃるのでしょう?
今までずっと…」
おずおずと尋ねる凪子に、やや弱々しい笑みをその端麗な貌に浮かべる。
「…ええ。
愛していました。
…けれど、最近は…よく分からなくなってきました…。
紫織さんの気持ちはもとより、自分の気持ちも…。
…というか…少々疲れてきたのです。
報われない恋をいつまでも追いかけるのに…」
…そうして、ゆっくりと傍らの凪子を美しい琥珀色の瞳でじっと見つめた。
「…私も、そろそろ新しい恋に踏み出すべきなのかもしれません…」