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それが運命の恋ならば
第9章 その薔薇の名前は 〜ローズガーデンの恋人たち〜
「やあ、千晴!ようやく来たな。噂の婚約者殿も」
庭園に現れた二人に対して千晴の友人たちが賑やかに近づいてきた。
皆、仕立ての良いスーツを着こなした如何にも裕福そうな青年たちだ。
どうやら、千晴の大学時代の友人らしい。
彼らは千晴の傍らに控えめに寄り添う凪子を見ると同時に唸った。
「…これはお美しい…!
いやあ、驚いた」
「さすがは千晴の恋人だ。
…千晴、お前はなかなか結婚しないと思ったが…。
なるほど、こんなに美しい恋人を隠していたんだな。
隅におけない奴だな、まったく!」
気の置けない仲なのか、陽気な口調で質問攻めにする。
千晴は苦笑で応える。
「何を言っている。
凪子さんはまだ婚約者などではないよ。
彼女は僕の従姉妹だ。
…訳あって、最近初めてお会いしたんだ。
だからお手柔らかに頼むよ。
改めて皆んなに紹介しよう」
千晴が凪子に微笑みながら背中に手を置いた。
…と、友人の一人が思い付いたように声を上げた。
「そうだ、千晴。
実は今日は後輩を一人連れてきたんだ。
お前とは入れ替わりに馬術部に入部してきたんだが、優秀な奴でね。
彼は家業の旅館を経営しているんだが、仕事柄、庭園の設計にとても熱心なんだ。
千晴の家の庭園はそれは見事だから参考にしたら?と急遽誘ったんだよ。
飛び入り参加だが、良いだろう?」
千晴はにこやかな頷いた。
「もちろん、クラブの後輩なら誰でも大歓迎だ」
友人が背後を振り返る。
「一之瀬!こちらに来いよ。
今、千晴に紹介する。
…麗しの恋人にもだ。
お前は運が良かったな」
明るく笑う友人の背後から現れた長身の青年の貌を見て、凪子は息を呑んだ。
「…李人…様…!」
庭園に現れた二人に対して千晴の友人たちが賑やかに近づいてきた。
皆、仕立ての良いスーツを着こなした如何にも裕福そうな青年たちだ。
どうやら、千晴の大学時代の友人らしい。
彼らは千晴の傍らに控えめに寄り添う凪子を見ると同時に唸った。
「…これはお美しい…!
いやあ、驚いた」
「さすがは千晴の恋人だ。
…千晴、お前はなかなか結婚しないと思ったが…。
なるほど、こんなに美しい恋人を隠していたんだな。
隅におけない奴だな、まったく!」
気の置けない仲なのか、陽気な口調で質問攻めにする。
千晴は苦笑で応える。
「何を言っている。
凪子さんはまだ婚約者などではないよ。
彼女は僕の従姉妹だ。
…訳あって、最近初めてお会いしたんだ。
だからお手柔らかに頼むよ。
改めて皆んなに紹介しよう」
千晴が凪子に微笑みながら背中に手を置いた。
…と、友人の一人が思い付いたように声を上げた。
「そうだ、千晴。
実は今日は後輩を一人連れてきたんだ。
お前とは入れ替わりに馬術部に入部してきたんだが、優秀な奴でね。
彼は家業の旅館を経営しているんだが、仕事柄、庭園の設計にとても熱心なんだ。
千晴の家の庭園はそれは見事だから参考にしたら?と急遽誘ったんだよ。
飛び入り参加だが、良いだろう?」
千晴はにこやかな頷いた。
「もちろん、クラブの後輩なら誰でも大歓迎だ」
友人が背後を振り返る。
「一之瀬!こちらに来いよ。
今、千晴に紹介する。
…麗しの恋人にもだ。
お前は運が良かったな」
明るく笑う友人の背後から現れた長身の青年の貌を見て、凪子は息を呑んだ。
「…李人…様…!」