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第9章 その薔薇の名前は　〜ローズガーデンの恋人たち〜

…温室の蔓薔薇が絡まる窓硝子から、ガブリエルの茂みが見える。

美しい二人の口づけは、まるで大人の艶めいたお伽噺の絵姿だ。

白い花影が、二人の甘く激しい抱擁と口づけを慎ましやかに隠した。

凪子はそっと微笑みながら、温室から離れる。
そうして、毅然とした脚取りで美しい薔薇の庭園を後にした。

…自分の新たなる人生を、歩み出すために…。