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それが運命の恋ならば
第9章 その薔薇の名前は 〜ローズガーデンの恋人たち〜
「…ああ…ん…っ…」
「…紫織さん…。
…愛している…」
蕩けるほどに甘く熱い口づけの合間に、愛を囁く。
…今まで、決して伝えられなかった…けれど、伝えたかった真実の思いを…。

「…貴女はもう僕を好きではないと思ったんだ。
あの時、僕は未熟な少年で…青年になっても自分に自信がなかった。
だって貴女はいつもたくさんの男性に囲まれて、浮名を流していたから…。
…美しく、艶やかで、恋多き女性で…僕なんかに目もくれなかったでしょう」

口唇を名残惜しげに離す。
紫織は烟るような艶めいた眼差しで千晴を見上げた。

「…夫に見限られるためだわ…。
わざとそうしたのよ…。
私が蓮っ葉な女なら、愛想を尽かすだろうと思って…。
…でも…戯れの恋は見せかけだけよ。
私は誰にも身体を許したことはないわ…」

思いがけない言葉に、胸が熱くなる。

「…紫織さん…!」
再び愛おしい口唇を奪い、互いに狂おしく貪り合う。
…二度と離れるまいと、きつくきつく抱きしめ合う。

甘く苦い蜜の薫り…。
…愛おしい紫織の薫りだ…。

「…もう、二度と離さない…」

…愛している…。
その愛の言葉は、互いの熱い吐息とキスに柔らかく溶かされ、やがて甘やかに飲み込まれていったのだ…。








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