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それが運命の恋ならば
第2章 初夜
…ひんやりとした夜風が、不意に凪子の白い頸を撫でた。
凪子は思わず肩を竦めた。
春とはいえ、海の町は夜半を過ぎると、気温が下がるのだと、凪子はぼんやり思った。
…寝室の海側の障子が少し開いているのだ。
…ましてや凪子は今、薄い夜着一枚の姿だ。
夜着…というより、下着姿だ。
緋色の紅絹の長襦袢…。
しごきの帯は艶めいた桃色だ。
凪子は己れの姿を見て、やや困惑する。
…トキさんがわざわざ持っていらして着付けてくださったから…これでいいのだろうけれど…。
けれど、緋色の長襦袢は、まるで遊郭の花魁のイメージだ。
いや、花魁というより、女郎だ。
…少なくとも、凪子はこんな婀娜めいた色の長襦袢を初めて身に付けた。
…昨夜は白いお襦袢だったのに…。
なぜなのかしら…。
…今夜は、初夜だというのに…。
李人はなかなか現れない。
トキはどこかに行ってしまった。
離れのせいか、人の気配や辺りの物音が全くしない。
しんと静まり返った寝室…。
雪洞の灯りだけが、仄かに白い褥を照らしている。
…まるで、私ひとりが取り残されているみたい…。
凪子はぼんやりとした不安に襲われ、思わず立ち上がろうとした。
…その時、静かに襖が開いた…。
凪子は思わず肩を竦めた。
春とはいえ、海の町は夜半を過ぎると、気温が下がるのだと、凪子はぼんやり思った。
…寝室の海側の障子が少し開いているのだ。
…ましてや凪子は今、薄い夜着一枚の姿だ。
夜着…というより、下着姿だ。
緋色の紅絹の長襦袢…。
しごきの帯は艶めいた桃色だ。
凪子は己れの姿を見て、やや困惑する。
…トキさんがわざわざ持っていらして着付けてくださったから…これでいいのだろうけれど…。
けれど、緋色の長襦袢は、まるで遊郭の花魁のイメージだ。
いや、花魁というより、女郎だ。
…少なくとも、凪子はこんな婀娜めいた色の長襦袢を初めて身に付けた。
…昨夜は白いお襦袢だったのに…。
なぜなのかしら…。
…今夜は、初夜だというのに…。
李人はなかなか現れない。
トキはどこかに行ってしまった。
離れのせいか、人の気配や辺りの物音が全くしない。
しんと静まり返った寝室…。
雪洞の灯りだけが、仄かに白い褥を照らしている。
…まるで、私ひとりが取り残されているみたい…。
凪子はぼんやりとした不安に襲われ、思わず立ち上がろうとした。
…その時、静かに襖が開いた…。