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それが運命の恋ならば
第2章 初夜
「…李人…様…」
…漸く現れた李人の姿を見て、凪子は安堵のため息を吐いた。
けれど、同時に微かな違和感を感じる。
李人はなぜか着物姿ではなかった。
…黒いシャツに黒いスラックス…。
上質な仕立てのそれは、すらりとした長身の手足の長い端整な李人に恐ろしいほどに良く似合っていたが、えもいわれぬ禍々しい雰囲気を醸し出していた。
「…李人様…。
…あの…」
…言葉を続けようとする口唇を指で塞がれる。
それは、ぞくりとするほどに冷たい指だった。
「…ああ、やはり綺麗だ…。
とてもよく似合う。
…緋色の肌襦袢…。
…まるで、淫らな花魁のようだね…」
うっとりと、唄うような声だった。
…そして、優しいキスをするように引き寄せながら…
「…凪子…。
君にぴったりだよ。
やはり、血は争えないね。
忌むべき、あの男の血だ」
…そう蔑むような眼差しで言い捨てると、冷たく嗤ったのだ。
…漸く現れた李人の姿を見て、凪子は安堵のため息を吐いた。
けれど、同時に微かな違和感を感じる。
李人はなぜか着物姿ではなかった。
…黒いシャツに黒いスラックス…。
上質な仕立てのそれは、すらりとした長身の手足の長い端整な李人に恐ろしいほどに良く似合っていたが、えもいわれぬ禍々しい雰囲気を醸し出していた。
「…李人様…。
…あの…」
…言葉を続けようとする口唇を指で塞がれる。
それは、ぞくりとするほどに冷たい指だった。
「…ああ、やはり綺麗だ…。
とてもよく似合う。
…緋色の肌襦袢…。
…まるで、淫らな花魁のようだね…」
うっとりと、唄うような声だった。
…そして、優しいキスをするように引き寄せながら…
「…凪子…。
君にぴったりだよ。
やはり、血は争えないね。
忌むべき、あの男の血だ」
…そう蔑むような眼差しで言い捨てると、冷たく嗤ったのだ。