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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
海がよく見える窓際の席に着くと、澄佳は冷たく冷えた麦茶のグラスを静かにテーブルに置いた。
そうして、茶目っ気たっぷりに笑いかけてきた。
「こんなに若くてお綺麗なお嬢様を奥様に…なんて、さすが李人くんね」

「…いや…まあ…そうだね…。
うん。凪子は僕にとって世界一美しい掛け替えのない大切な妻だよ」
やや照れたように、けれど臆面もなく答える李人に凪子は驚き…やがて恥ずかしくなり白く細いうなじを染めた。

それを聞いた澄佳は
「まあ…!
あの李人くんがこんなに惚気るなんて…!」
と驚嘆してみせて、
「…でも、分かるわ。
本当にお美しい奥様…。
李人くんが自慢に思うはずだわ」
にっこりと頷いたのだ。

はにかんだように凪子に微笑みながら、李人は改めて澄佳に尋ねる。
「澄佳さんは?
ご結婚…されたと風の便りで伺っているけれど…」

澄佳は穏やかに…けれど大層幸せそうに美しい瞳を瞬いた。

「…ええ…」

…その時、扉のカウベルが賑やかに鳴り、

「お母ちゃま!ただいま!」

明るく屈託のない元気な子どもの声が店内に響いた。


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