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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
「…妻の凪子です」
李人が凪子の肩を優しく抱きながら、紹介する。
「結婚したばかりなのですが訳あって、まだ新婚らしいことは何ひとつしてあげられなくて…。
まずは凪子に僕の思い出の海の街を見せたくて、連れて来たのです」

「…凪子です。
よろしくお願いいたします」
やや緊張しながら頭を下げる凪子に、澄佳はそっと微笑んだ。

「清瀧澄佳です。
李人くんのお母様の別荘がこの近くにあって…。
小さな頃は毎年、遊びにいらしていたの。
同い歳ということもあって仲良くさせていただいていたんです。
…そう、幼馴染みみたいなものね。
凪子さん、お会いできて嬉しいわ。
…さあ、お座りくださいな」

ふわりとしたその微笑みとしっとりとした艶のある声は、凪子に安堵と不思議な魅惑を与えたのだ。


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