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それが運命の恋ならば
第2章 初夜

「…え…?
…李人さ…ま…?」
李人の言葉が何ひとつ理解できない。
凪子はひたすら驚きに眼を見開く。
「…貴女の父親と同じ…。
…貴女は卑猥で下品な格好がお似合いなのですよ」
嘲り笑う李人の酷い言葉より、耳に響いたのは父親という単語だ。
耳を疑った。
「…私の父親…て…。
何を仰っているのですか…?
私は孤児です。
父親はいません」
李人は形の良い唇を歪めて冷笑した。
「いるのですよ。
…貴女の父親は。
…しかも、かの高遠家の当主様ですよ」
再び耳を疑うような言葉が、李人から浴びせかけられた。
「…高…遠…って…あの…」
「そう。中学生でも知っている、あの歴史的にも有名な高遠家です」
凪子は驚きのあまり、声も出なかった。
…高遠家と言えば、歴史の教科書にも出てくる明治維新に経済の礎を確立した有名な家柄だ。
更に歴史を遡れば、平安の世に陰陽師として政にも暗躍したという伝説の一族…。
帝政ロシアのラスプーチンにも擬える謎多きミステリアスな一族…。
凪子も名前だけは知っていた。
…いや、有名な家柄などと言うことはどうでも良かった。
それよりも、自分に父親がいるのだと言うことが信じ難かったのだ。
驚愕のあまり、絶句する凪子を愉しげに見つめながら李人は告げた。
「…貴女は放蕩三昧の色悪な高遠家の当主の愛人の子どもだったのですよ。
正妻は貴女の誕生を知り激怒しました。
貴女を母親の元から無理やり引き離し、密かにあの尼寺に託したのです。
膨大な口止め料を庵主に支払い…ね」
…李人さ…ま…?」
李人の言葉が何ひとつ理解できない。
凪子はひたすら驚きに眼を見開く。
「…貴女の父親と同じ…。
…貴女は卑猥で下品な格好がお似合いなのですよ」
嘲り笑う李人の酷い言葉より、耳に響いたのは父親という単語だ。
耳を疑った。
「…私の父親…て…。
何を仰っているのですか…?
私は孤児です。
父親はいません」
李人は形の良い唇を歪めて冷笑した。
「いるのですよ。
…貴女の父親は。
…しかも、かの高遠家の当主様ですよ」
再び耳を疑うような言葉が、李人から浴びせかけられた。
「…高…遠…って…あの…」
「そう。中学生でも知っている、あの歴史的にも有名な高遠家です」
凪子は驚きのあまり、声も出なかった。
…高遠家と言えば、歴史の教科書にも出てくる明治維新に経済の礎を確立した有名な家柄だ。
更に歴史を遡れば、平安の世に陰陽師として政にも暗躍したという伝説の一族…。
帝政ロシアのラスプーチンにも擬える謎多きミステリアスな一族…。
凪子も名前だけは知っていた。
…いや、有名な家柄などと言うことはどうでも良かった。
それよりも、自分に父親がいるのだと言うことが信じ難かったのだ。
驚愕のあまり、絶句する凪子を愉しげに見つめながら李人は告げた。
「…貴女は放蕩三昧の色悪な高遠家の当主の愛人の子どもだったのですよ。
正妻は貴女の誕生を知り激怒しました。
貴女を母親の元から無理やり引き離し、密かにあの尼寺に託したのです。
膨大な口止め料を庵主に支払い…ね」

