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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
「さあ、凪子。
君が決めるんだ。
君の運命の相手は誰なのか。
私たちは君の意思に従うよ。
君は私たちの女神なのだから…」

そう静かに語りかけ、李人は手入れの行き届いた美しい手を差し出した。

「…李人様…」

その傍らには禅の節くれ立った…けれど鞣し革のようなブロンズ色の手が差し出される。

「…奥様。
旦那様のお許しがいただけるのなら、私は貴女だけを生涯愛し抜く決意でおります。
そうして、旦那様と奥様にこの命のすべてを捧げることをお誓いいたします」
その言葉と眼差しには情熱と真実があった。

「…禅さん…」
凪子は新たな涙を滴らせた。
しかし、それは哀しみや苦しみの涙ではなかった。
新たな愛への熱い感情の結露であった。

凪子の白く華奢な両手が、それぞれの男の手をしなやかに握りしめる。

「…愛しています…」

二人を静かに見上げ、微かに…けれど確かに幸福そうに微笑んだのだ。


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