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それが運命の恋ならば
第11章 ふたつの月
「…さあ、凪子。
もうひとりの旦那様に君のすべてを見せるのだ」

…寝室は再び、膿んだような熱と湿度を持ち、その空気は淫靡に甘狂おしく湿っていた。

「…ああ…」
凪子は褥の上、一糸纏わぬ李人に背後から抱きかかえられていた。
身に纏う白い夜着も帯は取られ、前を露わにはだかれている。
その真珠色に輝く艶やかな美しい乳房は、禅の前に無防備に曝け出されていた。

「…凪子。
脚を開きなさい…」
凪子の薄桃色に染まった耳朶を噛みながら、命じた。

「…や…あ…ん…」
…夜着の下には何も付けていない。
脚を開けば、何もかも曝け出されてしまう。
目の前に立つ禅に凝視され、凪子は激しく首を振る。

…それに…
凪子は禅の姿を真面に見られなかった。

…なぜならば…。

…禅もまた、李人と同じく、その肌に身に付けているものは何もなかったからだ。

禅の裸体を見るのは初めてだった。
禅は、かつて閨に立ち会う時は常にきちりと黒い着物を身に付けていたからだ。

…それが…

今は、ブロンズ色に輝く雄々しく筋肉隆々の姿のまま、凪子の前に立っていたのだ。
そのことが凪子を激しく乱れさせた。

李人が凪子の夜着をさらりと捲り上げた。
そうして、凪子の白い太腿を掴むと、有無を言わさずにその華奢な脚を大胆に開かせた。

「ああっ…!」
凪子は思わずきつく眼を閉じた。

…目の前の男が、自分の裸体を…秘する場所を、じっと見つめている様が脳裏に浮かぶ。

「…や…あ…みな…い…で…」
身体が焼けつくように熱を持ち、呼吸が荒くなる。

李人が凪子の白い顎を掴み、甘く囁いた。

「…眼を開けなさい…。
君のもうひとりの旦那様のからだを、よく見るのだ…」





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