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第11章 ふたつの月

凪子は、大きな瞳を見開き…じっと禅を見つめ返した。
…深い深い夜の海の色の瞳と視線を交わす。
もう、お互いに余分な言葉は必要なかった。
「…はい…禅さん…」
そして、背後から自分を抱きしめる李人を振り返る。
「…それがおふたりの願いならば…。
…それが運命ならば、私は嬉んで受け入れます」
「…凪子…。
ありがとう…。
愛しているよ…」
背後から顎を持ち上げ、濃密な口づけを与えられる。
「…ん…っ…あ…あ…ん…っ」
口づけを与えながら、凪子の白く輝くような脚を禅に向かって大胆に開いた。
「…ああっ…！」

「…さあ、禅…。
奥様のお許しがいただけたよ…。
…凪子を、抱くのだ…」
艶めいた声に応えるかのように、禅は凪子のほっそりとした美しい脚を押し開いた。
…ブロンズ色に輝く剣闘士のような身体が、間近に迫る。

「…ああ…そんな…」
…思わず声が漏れたのは…
禅の、鋭い剣のように屹立した牡をまざまざと見せつけられたからだ。
今しがた、凪子の口淫で果てたとは思えぬほどに、禅の、それは硬く兆し、雪洞の灯りにぬらぬらと照らし出されていたのだ。

さながら美しい彫像を愛でるかのように、李人は眼を細めた。
「…ああ、やはり禅のは大きいね。
さっきも凪子はとても苦しそうだった。
…今度は……ちゃんと飲み込めるかな…？」
卑猥な言葉と恍惚としたような李人の声に誘われるように、禅が逞しい身体を進める。

…鋭い剣の切っ尖が、李人の樹液に塗れた花陰のあわいに押し当てられる。

「…ああ…っ…！…ま…っ…て…」
…いよいよ、禅にもこの身体を支配されてしまう…。
その恐怖と、畏れと…それらを遥かに凌駕する快楽への期待に、凪子の身体は大きく震える。

「…凪子の中はまだ私の精液が溢れているからね…。
きっと直ぐに挿入るよ。
…さあ、禅…。
早くお前のもので凪子を満たしてあげなさい」