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それが運命の恋ならば
第2章 初夜
…それからの記憶は、夢の中の出来事のように曖昧だった。
破瓜の痛みは想像を絶していて、凪子は行為の最中に意識を朦朧とさせていたからだ。

分かっていることは、李人に何度も体位を変えながら、じっくりと犯されたということだけだった。

処女だった凪子に、李人は容赦はしなかった。
決して乱暴には扱わなかったが、遠慮もしなかった。

けれど、性技に長けている男は次第に苦痛だけではなく、快感を覚えさせるように、丹念に…愛情と勘違いするほどの優しさで凪子を抱いた。
だから、痛みは初回の性交のみだった。

「…ん…っ…!
…あつ…い…!
…や…あ…ぁ…ん…っ…!」

…初めての性交の果てに、中で射精をされた。
子宮の奥底が熱く染み入るような初めての衝撃を受けた。

「…な…にを…なさったの…?」
訳が分からずに混乱する凪子の白く艶やかな頬を、李人は優しく撫でた。

「…やはり貴女はネンネですね。
これを射精というのですよ」
「…え…?」
「…貴女の中に私の精液をたくさん出しました。
貴女はそのうち、妊娠するかもしれませんね。
…私の子どもを…。
…それこそが、私の最大の復讐です」
李人は愉しげに笑った。

「…そんな…」
…酷いと、口唇を噛み締めた。
本当だったら、結婚し、子を成すことは幸福なことだ。
凪子も子どもは大好きだ。
自分が天涯孤独な身の上だったから、結婚したら子どもは欲しいと思っていた。
子どものいる温かな賑やかな家庭を夢見ていた。
…ましてや、李人に惹かれてからは…。

…けれど…。

「…貴方は私を憎んでいらっしゃるのに…。
貴方と私の子どもなど…愛することはできないでしょう…?」

李人は不意を突かれたようにその切長の美しい瞳を見開いた。
けれど、すぐに唇を歪めた。

「…さあ、どうでしょうね。それは分かりません。
…私の父は、私を自分の子どもかどうか、心の底では疑いながらも複雑な愛情は向けてくれていた。
…憎みきれず…かと言って愛しきれず…。
…私も父に倣うのかもしれませんね…」

そう暗く歪んだ微笑みを浮かべると、李人は再び、凪子の身体を開き、白い褥の海に深く沈めたのだ。











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