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第3章 愛と哀しみの夜明け

…禅の逞しい身体に抱き竦められたまま、李人の性器を受け入れる。
その手練れた抽送は激しさと技巧を増し、凪子の未成熟な花陰の奥からは、花蜜が滴り落ち、温かな湯と混じり合う。
温泉の熱さと、男の牡の熱量、そして肉同士が擦れ合う摩擦熱…。
凪子は次第にぐずぐずと身体の奥底から痺れるような快楽の畝りを感じ始めていた。

「…ああ…ん…っ…はあ…ああっ…」
甘く淫らな声が漏れる。
…こんな声は自分でも聞いたことがない。
甘ったるく濡れたいやらしい声だ。

「…気持ちいいですか…？」
李人が微笑みながら、薄桃色に染まった耳朶を噛む。
背後から凪子の小振りな乳房を掬い上げるように卑猥な仕草で揉みしだく。
…まるで、前に居る禅に見せつけるかのように…。

「…はあ…っ…んん…っ…ああ…」
男に敏感な乳房を弄られていることは元より、その様を禅に間近で見つめられているという異常な状態に、仄暗い悦楽を覚えてしまうのだ。
「…ああ…い…や…ああ…ん…っ…」
快楽を感じ始めた身体に、更なる湿った快感が加わり、凪子は身悶える。

「禅によく見てもらいなさい。
貴女の美しい乳房を…。
…まるで、あの枝垂れ桜の花弁のように淫らに色づいている…」
顎を捕らえられ、宙空にアーチを描くように咲き誇る夜の枝垂れ桜を見上げさせられる。

「…なんと美しい…。
美しすぎて…めちゃくちゃに壊してしまいたくなる…」
苦々しいようなため息とともに、乳房を握りしめる手に強い力が加わる。

「んんっ…ああ…っ…ん」

やがて李人の手がじっくりと乳房を愛撫し続ける。
…硬く滾った牡は、力強く凪子の淫肉を抉るように突く。

「…んんっ…！…や…ああ…も…う…やめ…て…。
…おか…しくなる…」

禅の逞しい胸板に貌を埋め、この倒錯に満ちた性愛の光景から眼を背ける。
熱い涙が零れ落ち、禅のブロンズ色の肌を濡らす。

「…奥様…。
お泣きにならないでください。
…旦那様に愛され、乱れる貴女は例えようもなくお美しいのですから…」
「…禅…さん…」
長い睫毛の端に水晶のような涙の雫を絡めたまま、眼の前の男を見上げる。

…男の凛々しい瞳の奥には熱情の光が宿っていた。
胸が、甘狂おしく締め付けられる。

「…禅…さ…ん」

二人の口唇が、密やかに近づく。