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秘匿の闇市〜Midnight〜
第1章 愛玩少女の製造法
あさひがそのフリーマーケットの存在を知ったのは、十七歳の誕生日を迎えて約二ヶ月が過ぎた、ある夜のことだ。
きりきりとした新涼が心地好い程度の感傷を誘い出す初秋、普段は感情の起伏が希薄なあさひも例外なく、一種の快楽的な流行り病に冒されでもした風に、暇があれば多感な高揚に酔いしれていた。
五十七歳という齢の祖母の手は、本や歌に記されるような、いわゆる「おばあちゃんの」「皺だらけの」とは、形容し難い。
そんな手に引かれて歩く夜道は、あさひをどこか後ろめたい気分にさせた。つまり温室育ちのあさひにとって、深夜零時過ぎの外出は、何だかまるで大人の仲間入りでもした心地をそそる。
昼間は陽気な公園も、夜の帳が下りた今は、どこか陰気な、後ろ暗い、ねっとりとした賑わいを秘めていた。
公園の出入り口より一歩手前で、祖母の育江が足を止めた。
「あさひ。この先は、すこぶる自由なフリーマーケットなの。おばあちゃんは、あの親不孝者の娘であるあんたを、器量だけはしっかり伸ばして育ててやったつもりだよ。あんたは私に感謝しているでしょう?」
「もちろんよ。私を産んだすぐあとに、お母さんは、よその男の人とどこかへ行ってしまった。引き取ってくれたのが、おばあちゃんだった。おばあちゃんの言うことを聞いて間違いないんだって、いつも教えてもらっているわ」
「それに、誰からも愛されて幸せになる近道も、あんたにはしっかりと教えた。おばあちゃんの見ていないところででも、教えた通りに出来るね?」
「ァッ……」
育江の小枝のような指が、あさひの太ももをまさぐった。膝丈まであるスカートが捲れ上がるのには構わず、正面からも内股からも、祖母の手はあさひを撫で回す。