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秘匿の闇市〜Midnight〜
第5章 禁じられた二人
* * * * * * *
待ち焦がれて、あらゆる空想を巡らせては、多くの歳上の女達を羨んでいた。
どれだけ気も遠くなるような経験を重ねても、あさひは女の喜びのある段階を超えた先を、まだ知らない。
それはいつ訪れるのか、ませた蕾を開かせるのは誰か、考えるほどもどかしさだけが募っていった。
こうも突然、その時が来た。しかも三ヶ月前までは普通に暮らしていた部屋で。
…──初めてが、彩月だったら良いのに。
一個人の所有物であるあさひには、身の丈に合わない望みだった。しかし考えなかったと言えば嘘になるそれがいざ叶うと、胸の奥がひんやりとした。
落胆だ。
こんなところでまで、佳子の采配が紐づいている。彩月があさひを求める根拠に、甘ったるい感情はない。
「んんっ、……」
ちゅ。……ちゅ。
触れ合うだけの優しいキスは、音も立たない。肉厚の花びらが風にそよぐようにして、あさひと彩月の吐息が行き交う。
頭が痺れる。こうも心地の好い行為が、どうしてかドラマや映画の場合、登場人物達は、それほど法悦した顔をしない。口づけを知らなかった頃は疑問もいだかなかったが、いっそ泣いても良いくらいだと、今は思う。
「はぁっ、ぁむ……んぅッ」
唇を啄むキスに誘い出されるようにして、舌を出す。その舌を彩月の指が撫でて、歯列をなぞり、キスがあさひの唇を塞ぐ。