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秘匿の闇市〜Midnight〜
第5章 禁じられた二人
* * * * * * *
長年あさひの過ごした部屋で、彼女の貞操を解禁させた翌日、彩月は志乃達の見送りに付き添ったあと、大量の荷物を持って館に戻った。
迎えに車を出してくれた佳子付きの運転手には言わずもがな、住み慣れた職場に戻っても、彩月は出勤していた家政婦達に誤解を解くのに難儀した。
「つまらないこと」
「え?」
「あの子の洋服は、貴女の部屋に預かるんでしょう。だったら着たって、私が文句は言わせない」
「あたしはどっかのマゾじゃないので、出されたものでもイヤなら着ません」
「そのどこかのマゾネコちゃんの、初物はちゃんともらった?」
まだ明るい内から、すごい業務連絡だと思う。
しかしここは佳子の書斎だ。どんな話題が出たところで、誰にも迷惑はかからない。
二日振りに見る佳子は、誰より彩月の会いたかった女だ。
華やかで知的な顔立ちに、シニヨンにまとめた栗色の巻き髪──…二重のくりりとした目は、とても五十代に差しかかったばかりの女とは思い難い、少女の煌めきを宿している。それでいて少女にはない奥ゆきが、彩月を掴んで離さない。
彩月はデスクに片手をついて、身を乗り出す。昂然と腰かけた彼女に目線を合わせて、赤い唇に自身のそれを押しつけた。