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秘匿の闇市〜Midnight〜
第6章 欠陥していく彼女
森に差しかかる一歩手前のテーブル席に場所を移すと、まづるが足元の砂利を気にして、椅子を並べた。
それら三脚の中央に腰を下ろして、あさひは彩月のキスを受け入れる。触れ合うだけの口づけは、周囲の女達の淫らごとに煽り立てられるようにして、瞬く間に深まっていった。
間近に見てもくすみ一つない彩月の肌は、近くにいる林や姫猫に比べて、甚だ薄化粧なのが分かる。絡み合う舌が離れる度、あさひを見る自然な二重の切れ長の目の眼差しは、甘く精悍な煌めきを湛えていて、リボンタイを緩く結んだ白いシャツに覗く首筋は、あさひの方が吸いつきたくなる色香を放っている。
「んっ……ァンッ……」
「あさひ……」
「彩月さん……」
「エロい声。こんなことで、……もう、気持ち良くなってるの?」
「ァッ、ん、……っ」
彩月の指があさひの太ももをまさぐって、エプロンスカートを捲り上げた。
ただ太ももを撫でているだけ。ただ唇を啄んで、優しく名前を囁くだけ。
それだけの彼女の行為に、あさひの腰の奥がじわじわ疼く。あらゆる期待や想像力が、膨らんでいく。
「まづる……、はぁっ、私、……」
「姫猫?!」
「か、勘違いしないで。使用人が、ましてペットがこんなに優しい扱いを受けるなんて、私の好みではなくってよ。……それでも、感じてきちゃうわ」
「……もう」
「お前達、はしたないぞ。人様のお宅で」
「良いのよ、遊さん。人と人が愛し合うのに、はしたないことなどありますか」
佳子が遊を宥めると、いよいよ彩月の肩越しで、姫猫とまづるが唇をじゃれ合わせた。まづるが姫猫の赤い唇の奥を水浸しにしていく音や、彼女らの甘いささめき、吐息の音が、まるであさひ達のそれらと共鳴している。