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秘匿の闇市〜Midnight〜
第6章 欠陥していく彼女
結局、佳子を中心とした女達が芋と栗と南瓜のスイーツを平らげるまでに三度、彩月はあさひを蹂躙した。
月日を重ねるごとにペットの扱いが甘くなっているだの、本当に恋人同士だと聞いても信じてしまいそうだの、女達の所感は手放しだ。
彩月からすれば彼女らの見解が心外だったため、翌週、昼ご飯の時間が被った美影に、ついぼやいた。
「違うの?」
意外だと言わんばかりの顔が、美影に浮かんだ。
「あさひちゃんが本命だと思ってた」
「一番も二番もないよ。……悪女じゃないんだし」
「っていうより、別枠?」
「良いよ、もう。どうせ一番大事な人とだって、どうこうなりたいはないから。誤解だけはされたくないだけ」
淫らな世話をしている時、あさひがいじらしく見えてしまうのは否定しない。
ただ、それは、やんちゃなペットを飼育する内に情が移るのと似ている。佳子にまでそうした疑惑をいだかせているかも知れないと思うと、ぞっとする。
もっとも、勤務時間中に主人のことは、あまり頭に入れたくない。顔を見たくて、言葉が欲しくて、触れたくなる。そうすれば仕事も手につかなくなる。
彩月のそうした心中を察してか、美影が口調を切り替えた。
「ちなみにそのあさひちゃん、また仏野さんからお呼びがかかったよ」
佳子の名前が出る以上に、それは心穏やかに耳に出来るものではなかった。