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秘匿の闇市〜Midnight〜
第7章 救済と矛盾
林が佳子達との茶席に戻った。
キッチンでは、女達に軽食を届けてきたばかりという美影が、家政婦らの食事も準備していた。
「有り難う。亜子さんは?」
「先に食べておいて、だって。何飲む?」
「玄米茶、温かいやつ」
「オーケー」
やたら凝った料理に半分ほど手をつけたところで、美影があさひの名前を挙げた。
本人が現れる気配はない。彼女が檻で食事をとるのは、いつものことだ。
「本気で小松原さんから買い取るつもり?」
彩月は頷く。
「小松原さんがあさひちゃんで稼いだお金は、買い値の半分にも達していない。分割願うにしたって、プレミアム価格とか上乗せされたら、どうするの」
「仕方ないよ、無職の育江さんは借金出来なくて、闇金だって保証人がいるし……」
つまり美影もあさひに仄めかせたことがあるという方法は、現実的ではなかった。さりとてあさひの他の親族達に、負債を強いるわけにもいかない。佳子の罪を問われるリスクも避けたい。
結果、彩月は地道に懐を肥やして、ある程度の金額に達したところで、あさひの落籍を佳子に求めることにした。