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秘匿の闇市〜Midnight〜
第7章 救済と矛盾
「彩月が急に金目当てで接客するようになって、好奇心旺盛なご婦人がたが邪推してるよ。それに、貴女まで身体壊したら、本業に支障が出る」
「家事ならやってる。ちょっと客、増やしてるだけだよ」
「サービスまで増えてるって、小松原さんが心配してた」
それでも、他の家政婦らに比べてたかが知れている。男は同じ指名なら、圭やたまきを真っ先に選ぶ。女達も佳子の手前、彩月に無茶な要望はしない。
美影の小言を逃れるようにして、彩月は空になった食器を運ぶ。いっそ小松原さんを見限れば、という彼女の諧謔を一笑に付して、流し台を片づける。
さっき、林も彩月に訊きたがっていた。
佳子かあさひ、どちらを取るのか。
執着と同情。
人は、どちらなら平気で見切れるのだろう。