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秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法
* * * * * *
陽音とは似ても似つかないあさひに腕を回した女の影が、不幸になれ、と彩月に鋭い目を向ける。
母と呼んだ女の呪いは、いつまでも彩月にこびりついて、あらゆる光を排除する。
彼女の不幸が、それだけ根深かったのだ。それは実の娘のあさひに乗り移ってまで、彩月を許そうとしない。
「左胸からやりなさい」
佳子があさひのボタンを外して部屋着をはだくと、つん、と布が覆っていてもその場所を尖らせていた膨らみが露出した。掠れた血痕や極小の穴が痛々しいのは、さっきの注射だ。
彼女らの取り決めを知らなかったのは、彩月だけだ。算段通りに嵌められたのだ。
「お願いします……私、一生大切にして、毎日彩月さんのこと思い出しますから、やって……下さい……」
本当に素質はあるのだろう、と思う。
あさひのいじらしさも庇護欲をそそる引力も、育江の歪んだ教育あってのものだ。育江の独尊的な教えがなければ、彼女はここまで、もの言う花にはならなかっただろう。