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秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法
ポルノ作品など比にもならない過激な音声が、モニターを通してスピーカーから流れていても、慣れてしまえば気にならない。
淡々と作業を進めていると、同じくニュースを見ている時と変わらない様子の佳子が彩月を呼んだ。
「ところで、林さん。どうしても彩月に本気で惚れているんじゃないかと思うことがあるのよ」
「気のせいでしょう。あの蜜原さん達だって、好みの子は週三で指名されますし」
「それはそうなのだけれど……」
「引っかかるなら、小松原さんから釘を刺したもらって構いませんよ。貴女の不安が拭えるなら、一億五千万で買われたことにしてもらっても、あたしは聞き流しますから」
それも端からの嘘ではない。
ある時期を境に実家にも帰らなくなった彩月に一部の女達は気付いているし、彼女らの目つきはあからさまに変わった。
だからこそ佳子はあの檻を彩月に使わない。身体にしるしを付けてからは、信頼の置ける客の前でも脱衣を禁じているのだろう。
根も葉もない冗談にならない。
「牽制なんて何の役にも立たない。林さんがどうであっても、貴女が好きなのはあの子でしょう」
「またそのお話ですか。あそこであさひをとどまらせたら、志乃さんを小松原さんを訴えていました。刑事沙汰は……」
「なら、それなら貴女があの子に連絡しないのは何故。私への後ろ暗さがないのなら、美影に言付けくらい頼むでしょう」
「用がないからです。他人ですから」
「…………」
…──舐めて。
彩月は、流麗な動きでつま先を伸ばした佳子の側に跪く。