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秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法
* * * * * * *
今年もあの季節が訪れた。
数日前まで映画鑑賞用のスクリーンだった客室の隅に佳子の気まぐれが檻を設置して、そこに薄着の少女が入れられたのは、彩月が二十一歳の誕生日を迎えてまもない頃だった。
朝の業務が一つ減って、もう四年半が経つ。
昼間は客達の肉欲を満たして、夜は佳子に隷従する。
この生活は、あさひが飼われる以前と大して変わらない。
「お茶をお持ちしました。それと、こちらを小松原さんへ……と」
「有り難う。ああ、試供品ね。彼女の会社の新製品、私が気になっていたから、わざわざ……」
十数分前まで例のごとく彩月の下で脚と脚の間に洪水を起こしていた女からの手提げ袋を、佳子が申し訳なさそうに眺めると、デスク横のフックにかけた。
彩月は彼女の側に控えて、淹れたてのアールグレイをポットから注ぐ。
三つ並んだモニターは、地下の部屋を映し出していた。
彩月が林の相手をしていたのとほぼ同時間、最近入ってきた年少の家政婦にも蜜原氏の指名があった。隠しカメラは佳子の劣情を満たすのと同時に、家政婦達の安全を守るためのものでもある。今の場合、たとえ彼女が男の肉体に憎悪しているとしても、十代後半の少女の安全は優先事項だ。
「気分を害されるようでしたら、あたしが見ておきますが」
「平気よ。今日は、体調が良いから。……でなければ、とっくに吐き気を催していたわ」
カップをソーサーごと持ち上げて、佳子が優雅に紅茶を啜る。
彩月は、午前に中途だった書類棚の整理を始めた。