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蝶の標本〜もうひとつのトパーズ〜
第2章 アバンチュール
「今日は早めに帰れると思うよ」

和仁さんはそう言っていたので、
高級スーパーでお高い日本の食材や調味料を用意した。

といっても、日本ではずっと家事はお手伝いさんがしていたから苦手で、
結婚してからもこっそりお惣菜をタッパーに入れて持って来て貰っていたから、料理も苦手だった。

肉じゃがをなんとか作って、
あとはお刺身をエルメスのお皿に並べただけ。

お刺身も、マグロとサーモンくらいしかなかったけど、
なんとなく日本風に綺麗に盛り付けてみた。

盛り付けだけは得意だったから、
仕上がりに満足した。
日本なら古伊万里とか、九谷焼のお皿なんかもあるけど、
ニューヨークに来てから暇にまかせて少しずつ買い揃えているエルメスのテーブルウェアに和食もなかなか素敵ね?と思った。



着物風のガウンを着て、
髪をゆったり纏めて、
白い頸が引き立つようにする。


和仁さんが帰宅したので、
シャワーを勧めて、
バスタオルとバスローブを用意しておく。
わざとトランクスは置かなかった。

そして、その隙にキャンドルを灯す。


「凄いな。
日本に居るみたいだ」と喜んでくれて、
日本酒を注ぎながらゆっくり夕食をいただいた。


「あんまり飲み過ぎると、
勃たなくなるかな?」と笑って、
キャンドルを吹き消すと、
私の手を引いて寝室に連れて行ってくれた。
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