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蝶の標本〜もうひとつのトパーズ〜
第4章 貴方は私だけのモノ

和仁さんに言われたからという訳ではなかったけど、
岳人さんに拒絶されているような気がして、
それを実感するのが悲し過ぎて、
それからは主寝室で寝るようになった。
岳人さんと顔を合わせるのも辛くなってしまって、
食事の時間もずらすようにした。
それでも、
岳人さんが寂しがって私の処に来ることはなかった。
和仁さんは相変わらず仕事が忙しいのか、
浮気をしてるからなのか、
そんなに早く帰宅することもなかったし、
夜、遅くに帰宅して、
一人で食事や入浴を済ませて、
そっとベッドに潜り込むだけだった。
「梨香子さん、寝たの?」と、
遠慮がちに声を掛けることもあったけど、
私は寝たふりをして、息を潜めて答えることもしなかった。
時には少し強引に私を引き寄せてキスをしようとすることもあったけど、
「ごめんなさい。
疲れているの…」と言うと、
「ごめん」と言って、
額にキスを落として、
そのまま背中を向けて眠るだけだった。
もっと荒々しく、
無理矢理してくれれば良いのに。
でも、そこまで私が欲しい訳じゃないのよね?
どうせ、可愛い声で啼くような、
若い看護婦と寝てるんでしょ?
私なんか…
こうやってどんどん枯れていくだけ。
こんなことなら、
ミケーレの処に残れば良かった。
そんなことすら思っていた。
…本当は、
和仁さんは浮気もしてなかったし、
私のことを心から愛してくれてたのに、
そのことに思い至らなかった。
本当に愚かしい女だった。
だから…
罪を犯して、
その罰を受けることになったのよね?
でも、その頃はそんなことも知らずに、
ギリギリとした気持ちで過ごしていた。
岳人さんに拒絶されているような気がして、
それを実感するのが悲し過ぎて、
それからは主寝室で寝るようになった。
岳人さんと顔を合わせるのも辛くなってしまって、
食事の時間もずらすようにした。
それでも、
岳人さんが寂しがって私の処に来ることはなかった。
和仁さんは相変わらず仕事が忙しいのか、
浮気をしてるからなのか、
そんなに早く帰宅することもなかったし、
夜、遅くに帰宅して、
一人で食事や入浴を済ませて、
そっとベッドに潜り込むだけだった。
「梨香子さん、寝たの?」と、
遠慮がちに声を掛けることもあったけど、
私は寝たふりをして、息を潜めて答えることもしなかった。
時には少し強引に私を引き寄せてキスをしようとすることもあったけど、
「ごめんなさい。
疲れているの…」と言うと、
「ごめん」と言って、
額にキスを落として、
そのまま背中を向けて眠るだけだった。
もっと荒々しく、
無理矢理してくれれば良いのに。
でも、そこまで私が欲しい訳じゃないのよね?
どうせ、可愛い声で啼くような、
若い看護婦と寝てるんでしょ?
私なんか…
こうやってどんどん枯れていくだけ。
こんなことなら、
ミケーレの処に残れば良かった。
そんなことすら思っていた。
…本当は、
和仁さんは浮気もしてなかったし、
私のことを心から愛してくれてたのに、
そのことに思い至らなかった。
本当に愚かしい女だった。
だから…
罪を犯して、
その罰を受けることになったのよね?
でも、その頃はそんなことも知らずに、
ギリギリとした気持ちで過ごしていた。

