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蝶の標本〜もうひとつのトパーズ〜
第5章 距離感
そのまま、岳人さんは同じ敷地内の実家に行ってしまって、
私は和仁さんと2人の生活になった。
昼間は家政婦さんと一緒だったけど、
言葉を交わすことも、顔を合わせることも苦痛で、
部屋に篭って過ごした。
和仁さんと話をするのも苦痛で、
殆どを自分の部屋の中で過ごした。
ふと、ジュエリーボックスを開いて、
嵌めることはないだろうと思っていたブルートパーズの指輪を出して、
右手の薬指に嵌めてみた。
今の私には少し若過ぎるデザインだったけど、
悪くない。
そう思って、
その日からその指輪を嵌めたままにした。
長期間、実家に居るのも上手く理由をつけれなかったのか、
程なく岳人さんは戻ってきたけど、
部屋のドアには鍵がつけられていて、
部屋に入ることも出来なくなっていた。
私は能面のような顔で、
笑うことも話をすることもなくなっていった。
苛々した気持ちになったり、
塞ぎ込んだ気持ちになった時は、
その指輪をそっと撫でた。
これは…私がお揃いでデザインしたもの。
…誰とお揃いだったのかしら?
考えようとすると、
こめかみがズキズキと痛んでしまう。
全てがぼんやりとしてしまう。
孤独で息が詰まりそうになって、
また、その指輪をじっと眺める。
これは…
私が自分の為にデザインした指輪。
それだけのこと。
そう考えるようになっていった。
私は和仁さんと2人の生活になった。
昼間は家政婦さんと一緒だったけど、
言葉を交わすことも、顔を合わせることも苦痛で、
部屋に篭って過ごした。
和仁さんと話をするのも苦痛で、
殆どを自分の部屋の中で過ごした。
ふと、ジュエリーボックスを開いて、
嵌めることはないだろうと思っていたブルートパーズの指輪を出して、
右手の薬指に嵌めてみた。
今の私には少し若過ぎるデザインだったけど、
悪くない。
そう思って、
その日からその指輪を嵌めたままにした。
長期間、実家に居るのも上手く理由をつけれなかったのか、
程なく岳人さんは戻ってきたけど、
部屋のドアには鍵がつけられていて、
部屋に入ることも出来なくなっていた。
私は能面のような顔で、
笑うことも話をすることもなくなっていった。
苛々した気持ちになったり、
塞ぎ込んだ気持ちになった時は、
その指輪をそっと撫でた。
これは…私がお揃いでデザインしたもの。
…誰とお揃いだったのかしら?
考えようとすると、
こめかみがズキズキと痛んでしまう。
全てがぼんやりとしてしまう。
孤独で息が詰まりそうになって、
また、その指輪をじっと眺める。
これは…
私が自分の為にデザインした指輪。
それだけのこと。
そう考えるようになっていった。