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蝶の標本〜もうひとつのトパーズ〜
第5章 距離感
せっかく私立の男子校に行っていたのに、
和仁さんと岳人さんとで公立の進学校へと進路を変えてしまっていたことも、後から知った。
男女共学の高校ですって?
周りに可愛い女の子達がいると考えただけで、
苛々してしまったけど、
それを表面に出すこともしないでいた。
学校で何をしているのかも、
どんな友達が出来たのも知らないし、
帰宅しないことも多くなったけど、
その話をすることもなく季節は変わっていった。
高校2年の秋に、
外から和仁さんの携帯に電話が掛かってきた。
岳人さんからの電話で、
一緒にいるお友達が高熱で倒れてしまったというような内容だった。
日曜の夜で病院も閉まっている時間だったが、
和仁さんは岳人さんの待っている処に行くと言う。
たまたま、付き合いゴルフで腰を痛めていて、
車の運転が辛いと言っていたので、
私が車を出しましょうかと言って、
隣町の大きなマンションに2人で駆け付けた。
岳人さんの友達だという男の子は、
インフルエンザのようだった。
薬を渡したり、
処置をするのを見ていて、
ふと、岳人さんと一緒に居る女の子を見て、
息を呑んだ。
中学生の頃、
岳人さんが一緒に歩いていた小柄な女の子と良く似ていたからだった。
そういうことだったのね?
やっぱりあの娘と付き合っていたのね?
ママが居るのに!
岳人さんは、私だけのものなのに!
心の中が漆黒の闇に包まれていくように感じた。
この場で、その娘を殺してしまいたいほどの強い殺意を覚えた。
でも…勿論、そんなことは出来ない。
そう思って、そのまま、
先に家を出て車に乗った。
和仁さんと岳人さんとで公立の進学校へと進路を変えてしまっていたことも、後から知った。
男女共学の高校ですって?
周りに可愛い女の子達がいると考えただけで、
苛々してしまったけど、
それを表面に出すこともしないでいた。
学校で何をしているのかも、
どんな友達が出来たのも知らないし、
帰宅しないことも多くなったけど、
その話をすることもなく季節は変わっていった。
高校2年の秋に、
外から和仁さんの携帯に電話が掛かってきた。
岳人さんからの電話で、
一緒にいるお友達が高熱で倒れてしまったというような内容だった。
日曜の夜で病院も閉まっている時間だったが、
和仁さんは岳人さんの待っている処に行くと言う。
たまたま、付き合いゴルフで腰を痛めていて、
車の運転が辛いと言っていたので、
私が車を出しましょうかと言って、
隣町の大きなマンションに2人で駆け付けた。
岳人さんの友達だという男の子は、
インフルエンザのようだった。
薬を渡したり、
処置をするのを見ていて、
ふと、岳人さんと一緒に居る女の子を見て、
息を呑んだ。
中学生の頃、
岳人さんが一緒に歩いていた小柄な女の子と良く似ていたからだった。
そういうことだったのね?
やっぱりあの娘と付き合っていたのね?
ママが居るのに!
岳人さんは、私だけのものなのに!
心の中が漆黒の闇に包まれていくように感じた。
この場で、その娘を殺してしまいたいほどの強い殺意を覚えた。
でも…勿論、そんなことは出来ない。
そう思って、そのまま、
先に家を出て車に乗った。