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虐げられた新妻~秘密の書斎~
第10章 操り人形
車はさらに悪路を走り出し、
カップホルダーのペットボトルが投げ出されるほどだった。
喋っていると舌を咬みそうになるので
どちらからともなく無口になった。
いや、たとえ話しかけても洋介は運転に細心の注意が必要なのでおそらく会話は成り立たなかっただろう。
やがて目の前に小さな小屋が見えてきた。
「あれが秘湯だよ」
「よかったわ、一応、脱衣場があるのね」
美代子は秘湯と呼ばれるからには
囲いもない草っぱらで裸にならなければいけないのかと心配していた。
「源泉掛け流しだよ。
ただし、源泉の温度が38度とぬるま湯だけどね」
それがいいのよと美代子はウキウキしていた。
変に加温、加水などないほうが天然温泉って気がした。
今にも崩れそうなあばら家で二人は丸裸になった。
周りに木が鬱蒼と生い茂っているので
誰かに覗かれる心配もなかったので
美代子はタオルも持たずに湯に飛び込んだ。
「わあ~♪気持ちいいわ
洋介も早くいらっしゃいな」
そう言って美代子が脱衣場の方に目をやると
洋介がビデオカメラを手にしてこちらにやってきた。
「やだもう!入浴シーンなんて撮らないで」
ちょっぴり怒ってみたけど
二人だけの解放感が録画など些細な事だと
許す事にした。