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虐げられた新妻~秘密の書斎~
第4章 新婚旅行

結局二泊三日の新婚旅行は
次の夜も営みをせずに
あっという間に終わってしまいました。
電車の移動も長かったし
多分疲れているのねと
美代子は彼と一緒にいるだけで幸せだったので
全然不満はありませんでした。

むしろ、旅行が終われば
これからの二人だけの生活が待ち遠しくて
そちらの方が楽しみだったのです。


「旅行、終わっちゃうね」
帰りの特急列車に揺られながら
観光地のあそこがよかったとか
ここはもうひとつだったななんて思い出しながら
二人で刻み始めた時間を振り返りたかったのに
有人は「明日から仕事なんだし、
いつまでも浮かれていちゃいけないよ」などと
つっけんどんな返答で
会話を盛り上げてくれようともしません。

『こんな人だったかしら…』
付き合っている頃は「あ・うん」の呼吸で
何から何までウマがあっていたんだけどなあと
美代子はちょっぴり憂鬱になりかけたけど
彼の言うように
明日から仕事なんだから気持ちを切り替える事も
必要なのかもしれないと
自分自身が子供じみているのだと納得させた。

「あなた、明日からお仕事頑張ってくださいね」
そう言ってあげると
「君も頑張ってくれないと困るよ
なんてたって家のローン地獄なんだから」と
茶目っ気たっぷりのコメントに
『よかった、いつもの有人だわ』と
美代子は安心した。


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