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虐げられた新妻~秘密の書斎~
第5章 新婚生活
香織が言うように
誰も彼もが生涯のパートナーを見つけに来ているというよりはフレンドリーな関係を持ち
あわよくばベッドインしてくれる相手探しのような感じだった。
男が群がるのは
キャピキャピした大学生じゃないの?というような若い女のところだけで
三十路近い美代子と香織は部屋の片隅でカクテルを飲んでいた。
「まあ、女性は格安の参加費だし、
安いバーで酒を呑んでると思えばいいわ」
こんなはずじゃなかったのにゴメンねと
香織は恐縮した。
「いいのよ、たいした男もいないし」
そんなことを言っていると
香織に中年の脂ぎった顔の男が近づいた。
「お嬢さん、良ければあちらの席で
ゆっくりお話でも…」
若い男が目当てなのに
お嬢さんと呼ばれて気を良くした香織は
「ごめんね、美代子。
ちょっとだけお話の相手になってくるわ」と
そそくさと中年男に腰に手を回されて
美代子の元を去った。
ポツンと取り残された美代子は
仕方がないから帰ろうと席を立った時に
「お互いに一人ぼっちになっちゃいましたね」と
美代子より少し若いぐらいの男が近づいてきた。
「ここ、空いているんなら座ってもいいかな?」
こちらがどうぞとも言わないうちに
男は先ほどまで香織が座っていた席に腰を下ろした。
男は金城洋介と名乗った。
婚活というより異性のパートナー探しのようなパーティーなので偽名かもしれなかった。
「私ですか?美代子と言います」
うまい偽名が思い浮かばずに
美代子は正直に本名を名乗った。