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大魔女の遺言~子作りしないと出られない部屋に閉じ込められて~
第4章 十年間の想い
(私……嬉しいの? レイから告白されて喜んでるの?)

 疑問形で自分の心に問うが、答えは身体の変化に現れた。

 胸の奥が熱くなったかと思うと、その熱が瞳に集中する。熱を帯びる目頭を押さえると、指先が濡れた。 

 何故、レイと結婚したと言われた時、両親に対して怒りが湧いたのか。

 あの時は、金のために娘を売ったからだと思ったが、多分違う。

 悔しかったのだ。

 今までレイとの交流を禁じ、縛り付けていた父親の態度が突然変わったことが。
 彼と話すことが楽しみだったサラサの気持ちを、踏みにじったことが。

 彼女に向けられたレイの満面の笑顔を奪ったことが。

(私は……レイともっと話したかった……もっと仲良くしたかった! それなのに……それなのにっ‼)

 湧き上がる怒りが、サラサの心の奥にしまい込んでいた気持ちを暴いていく。
 父親に怒鳴られた恐怖によって蓋をした反発心が、十年の月日を経て鮮明に思い出される。

 静かな時間を邪魔されたくないと思いながらも、レイを拒絶できなかった本当の理由に気づく。

 初めて出会った時、レイがサラサに魅せられたように、サラサも――
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