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大魔女の遺言~子作りしないと出られない部屋に閉じ込められて~
第5章 正攻法
 そしてチラッと閉ざされた扉に視線を向ける。

「サラサ。あの扉、お前の力で何とか開けられるものか?」

「……無理ね。さすがに大魔女であったお婆様の力には勝てないわ」

「そうか。なら仕方ないな」

「……え? ちょ、ちょっとレイ? きゃぁっ‼」

 サラサの悲鳴が響き渡った。
 見上げた視線が、レイとぶつかる。彼がサラサを押し倒し、上に覆いかぶさったからだ。
 彼の口元が意地悪く緩む。

「なら、正攻法で脱出するしかないだろ」

「せ、正攻法って、ちょ、ちょっと待って!」

 慌てて声を張り上げるが、レイはそれには答えず、サラサの黒い髪を一房すくい上げた。

「お前の髪、元に戻してくれないか? 見たいんだ、俺が魅せられた、あの綺麗な赤を……」

 熱のある視線を向けられ、サラサの顔が真っ赤になった。
 今でも、自分の髪色はコンプレックスだ。

 だけどレイが望むなら、
 彼が綺麗だと言ってくれるなら、

 晒してもいいと思った。

 赤い瞳を伏せると、小さく言霊を唱える。
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