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大魔女の遺言~子作りしないと出られない部屋に閉じ込められて~
第2章 サラサとレイ
 今思い出しても、恐怖で足が竦む。

 恐らく、レイも同じように叔父から怒られたのだろう。
 次、彼と再会した時、話しかけられるどころか、まるで敵を見る目で睨まれ、心が委縮した。

 その時から、コンプレックスだった赤い髪を魔法で黒く染め、サラサはもっと内気な娘になってしまった。

 十歳~十六歳の間、裕福な家の子どもたちは国が運営する学園に通う。

 サラサも例に漏れず入学したが、異性の友人は作らず、休み時間も教室の隅で静かに本を読む、という過ごし方をしていた。

 前髪を伸ばし、表情を隠す彼女を、根暗だと嘲笑う者たちがいることを知っている。だがサラサにとっては、静かな時間を邪魔されなければそれで良かった。

 だがいつごろからか、同じ学園に入学したレイが、サラサの静かな時間を邪魔するようになった。何かと彼女に絡み、ヒルトン商会や自身の武勇伝を自慢して来る。

 サラサは、レイと仲良くするな、という親の言葉に従い、そっけない態度で接し、相手にしていなかったが。

 でも、今は静かなものだ。
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