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指先が待ち遠しくて
第1章 電車内で
 気づけば、あの指先を待つようになっていた。
 初めて触れられた時は恐怖で声も出ず、早く終わることを祈って必死に耐えていた。なのに、今ではあの指先を待ちわびるようになるなんて、あの頃は思いもしなかった。
 その指先は決まって水曜日に現れた。
 私が残業なく帰宅ラッシュのこの時間の電車に間に合うからかもしれない。

 いつも通り混み合う電車が一駅目を通過する。
 そろそろかな?
 そう思った頃には太ももが撫でさすられていた。
 すぐにスカートの中に入ってきた指先は下着の中へと入り、迷うことなく割れ目へと到達する。そこはもう、たっぷりと潤いを保っているはずだ。
 その指先に快楽を覚えだしてから、電車に乗る前にはいじられることを待ちわびて湿り気を帯びる身体になっていた。
 少し足を開くと同時に割れ目を押し開かれ、敏感なところを撫でられる。
「んぅ……」
 必死に声を我慢するが、どうしてももれてしまう。この指先は私の気持ちいいところを知り過ぎていた。
 中と外を動き回る指は、簡単に私のことを快楽の頂きへと追い立てていく。
 口に手を当てて声を抑えながらも、小刻みに腰が動くのは止められなかった。背中に密着されているので、腰の辺りに硬いものがぐりぐりと押し付けられる。
 あぁ……、今日はイけるかも……。
 そう思った私の耳に無情にも彼が下りる駅名を告げるアナウンスが入る。
 指先が早く動き、頂きへと追い立てようとするのだが、私は残りの時間が気になって仕方なく、どうにもイけなくなってしまう。
 電車の速度が遅くなるのと同じように、指先の動きも遅くなっていく。下着の中から出ていった指先にもっといじめて欲しくて、陰部がうずいていた。
 駅に着くと、彼の気配が背後から消えてしまう。
 今日もイけなかった。
 もう、十数回彼にまさぐられているのに、私はいまだ一度も絶頂へとたどり着かせてもらっていない。生殺しのような状態に、ここ最近我慢ができなくなったいた。
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