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狂愛の巣窟
第6章 【禁忌を侵す者たちは…】
「今日こそ恋人同士したい!」
どうにもこうにもこれ以上は譲れない様子の一颯くん。
しかしながら最近は土日も享さんが居るし平日は大学もある身だ。
先延ばしにしていたがとうとう痺れを切らしてしまっていた。
「今日の授業は1限で終わるんだ、だからお願い!」
何をお強請りするのかと思えばそんな事。
可愛いね、相変わらず。
「じゃ、迎えに行こうか?恋人同士したいならたまには待ち合わせとかどう?」
「えっ!来てくれるの!?すっげぇ嬉しい!門前で待ってて!」
「さ、流石にそれは…車停めてるのも申し訳無いし、近くのカフェで時間潰してるよ」
「デートだよね!?」
明らかにテンション上がったね?
目がキラキラしてる。
わかりやすい。
ニッコリ笑って「そうだね」と答えた。
そんなこんなで急にデートする事になった私たちは、表向きは仲睦まじい親子だが2人の中では完全な恋人同士だった。
大学近くで一颯くんを拾い、そのままドライブがてら少し遠いホテルランチに連れて行った。
「もうちょっとちゃんとした格好が良かったかな」なんて気にするから、だったら全身コーデしちゃおうと久しぶりにメンズショップをハシゴした。
「え?え?これ買ったの?いつの間に?」
テンパってるキミを楽しませてもらいながらちょっと格好良い男に変身させちゃいました。
大人っぽくジャケットのセットアップでシックに。
ちょっとこうしたら若干、享さんに見えてしまう。
参ったな。
「え、めっちゃタイプに仕上がったんだけど?」って言ったら耳まで真っ赤になるキミが可愛過ぎる。
腕組んで歩いちゃおうか?
「今日の十和子さんに釣りあえてるね?ありがとう」
「いつもの一颯くんも好きよ?でもたまにはこんな格好も新鮮ね」
「じゃ、堂々とこんな事も出来るね?」
そう言うと人目を気にせずギュッと抱き締めてきた。
「コラ…」と制止するものの不意打ちのキュンは持ってかれちゃいました。
悪戯っぽく笑うところは変わらないけど、ジャケットのせいなのか妙に色気を感じてしまう。