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狂愛の巣窟
第7章 【再燃するココロとカラダ…】
「岸くんも廃校になって初めて来るの?」
「うん、懐かしいよね」
「うん、何か結構鮮明に覚えてるもんだね」
「ほら、教室!3年1組!」
早く早く…と手を引っ張るから転けそうになる。
ガラガラッと開いた教室はフワッとあの頃の匂いがしたような気がしてとても懐かしく当時の思い出が蘇ってきた。
凄い……廃校になったなんて信じ難いね。
今でも充分使えるくらい廃れてない。
チョークや黒板消しもそのまま。
「夜になったら流石に来れないでしょ?肝試しになっちゃう」
「そうだね、ありがとう、連れて来てくれて」
「席覚えてる?」
「え〜何処だったっけなぁ…?」
「十和ちゃんは窓側の前から2番目!」
「へぇ、よく覚えてるね?そうだった、思い出してきた」
「で、俺が2列目の後ろだったの」
「そっか、まぁまぁ離れてる」
「毎日見てたよ…此処から十和ちゃんの横顔」
「やだ、先生!ストーカーが居ます!」
教卓に向かって手を挙げる。
笑い合って机の落書きやグランドを一緒に眺めたりしてると自然とまた目が合って。
私たちは一度だけ、身体の関係を持った事がある。
当時は元旦那と交際中だったけど隠してた私にずっと根気強くアタックし続けてくれたのが岸くんだった。
“好きな人が居ても良い、どんな隙間でも入り込んで十和ちゃんをいつでもかっさらうから”
色々あってボロボロだった私には効いたなぁ……このセリフは。
普段おちゃらけてばかりな岸くんが真面目に真剣に伝えてくれたから寄り掛かってしまったの、あの時。
「もう一度戻れるならあの時ちゃんと十和ちゃんを連れさらったら良かった」
ボーッとグランドを眺めながら言う横顔。
「でもその頃があったから今もこうして普通に話したり出来るんじゃない?私、結構元カレとかにはアタリきついよ?連絡先もブロックするし何なら一生視界に入れたくない」
「うわ、もし付き合ってたりしたら今日迎えに行っても全無視だった!?」
「いや、そもそも来ないかもね」
「うーわー!あっぶねぇー!34歳の十和ちゃん一生見れないとこだった、アハハ!」
「歳は言うな」