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狂愛の巣窟
第7章 【再燃するココロとカラダ…】
あれから……というのは最初の離婚からって事だよね。
結局手放してから大学卒業するまでの道のりは岸くんも知ってる。
相談する事はなかったけど気にかけてくれてた。
勿論、告白も受けて断ってる。
男はもう遊びだけで良いって思ってたから。
「やめて…?暗い話したくない……楽しい話しようよ」
「あの時から俺の気持ちは1ミリも変わってないよ」
「え…?」
「今日再会して改めて思った……やっぱり全部持ってかれちゃうのは十和ちゃんだけだって」
そんなに思い出の中から抜け出せないでいるの?
それほどまで苦しめちゃってたんだ、私。
ちゃんと断ったはずなのに。
「美化し過ぎだよ、あの頃の十和ちゃんのままじゃないの、私は」
「わかってるから……ごめん、困らせたい訳じゃないんだ、言葉が溢れちゃって…」
くすぐったい、この感じ。
思い出のある母校に来ているから余計に浸っちゃうんだね。
制服を着ていたあの頃の私たちに戻った気になる錯覚の中。
私だってちょっとは思うよ。
キミと付き合ってたらどんな未来になってたのかなって。
タラレバ話になるけど想像くらいはしちゃうよね。
先生と結婚する事もなかったかも知れない。
この手を取っていたなら今此処にはどんな2人で立っているのだろう。
「うん、岸くんのそういう気遣いも心地良かったなって思い出してる……でも付き合ってなくて良かった、今の岸くん見れてないかも知れないし」
「見れてるよ…!俺、付き合えてたら絶対傍に居るし、もしかしたら結婚だって……あっ」
言いかけて留まる……とかね。
笑って流すしかないじゃない。
「結婚……したから、再婚だけど」
一線引いておくね。
真っ直ぐなキミを汚したくはないの。
長年縛り付けていたみたいだけどもう解放してあげるから安心して?
「指輪……やっぱりそうだったんだね」
「うん……」
だからもう口説くのやめて。
新しい人に目を向けて欲しい。
なんて、上から目線だね。
ごめんね…なんて言ったら余計に気まずくなるから言わないでおくよ。