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狂愛の巣窟
第8章 【倫理に反したその先で…】





そのまま自分に返ってきて言葉に詰まる。
何の説得力もない。
有紗の言う通り、あんな姿晒しておいて言える立場じゃない。




「そのとんでもない事が美しく思える私はどうすれば良いの?理玖くんの事は大好きよ、辛い時に支えてくれたし人として好き……その大好きな理玖くんとママがセックスしてるのを見た時、私ゾクゾクしたの、心の底から綺麗だなって……女になる瞬間の、一人の女の顔したママに私は本気で性的興奮を覚えるの」




本音を言う時の少し早口になるところ、誰よりも知っている娘の癖だ。
私はただのセックス依存なだけよ。
誰でもいい訳じゃないけど、求められたら簡単に応えてしまう。
単なる股の緩い女よ。




「こんなの続けてたら精神が崩壊するわよ?有紗にはそうなって欲しくない」




「今日みたいなママをもう見れなくなる方が精神崩壊しちゃうんだけど……」




そう言って、言い出すと一歩も引かないところもよく知っている。
自分にそっくりだ。
性の目覚めが近親者で歪んだ愛に興奮する。
そんな娘がちょこんと彼の隣に座った。




「あ、でも理玖くんはあげないよ?私の彼氏なのは変わらない、表向きはね……けど目覚めちゃったんだから後戻りは出来ないの、私とママで理玖くんを調教していくのもなかなかの刺激だと思わない?ていうか、理玖くん本人が望んでる事だから」




「えっ!?そうなの?」




終始俯いていた彼も顔を上げて頷いた。
嘘でしょ………何なの、この展開は。
「私も2人のセックス見てたいし」と付け加えてきて開いた口が塞がらない。




「ちょっと考えさせて」と保留してしまった。
「ママ大好き」って抱きついてこられても呆然としてしまう。
いや、許した訳じゃないから。
ドッと疲れが出てきた気がする。




有り得ない世界の渦に巻き込まれていくような感覚。
取り返しのつかない事をした。
自業自得であり、釈明の余地もない。




これからどうなるの?




どうするべきなの。




また、ひとつ狂愛を紡いでしまった。
どんな非難、叱責を受けようと渦中に生きる者たちはそれらを甘んじて受ける覚悟でなければならない。
私にその器があるか。




わからない………わからないけど………









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