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狂愛の巣窟
第9章 【狂愛の巣窟ー最終章Ⅰー】
「あ、仕事なら仕方ないよ」
「いや、今必死で交渉中で何とかなるように調整かけてるんだ、ごめんね?ちゃんと決まるまでは何とも言えなかったから」
「いいのいいの、無理だけはしないでね?」
「え、ヤダぁ!誕生日一緒に過ごせない男の人とか…」と横入り。
泣き真似しなくていいから有紗…!
ニコニコ笑いながら牽制をかける。
「そうだよね」って享さんも落ち込むから面倒くさい展開になるじゃない。
「はぁ、夫婦なんだから何とでも取り返しつくだろ、俺らが口出しする事じゃねぇよ、まぁ、せいぜい愛を深めに旅行でも何でも行っちゃってくださーい、ごちそうさま!」
まさかの一颯くんが一蹴してくれる結末。
バレないように懸命になってくれたんだね。
有紗もポカーンと口開いちゃってるよ、バカ。
そうなんだ、来週は出張入るかも…なんだね。
自ずと誕生日は旦那さんと…と思ってたから。
うーん、このままだと1日中一颯くんに襲われちゃいそう。
何とかせねば。
(絶対絶対俺と過ごしてね?親父と旅行行ったら生理だって言って)
後できたメール。
やっぱり怒ってる。
返事しないと催促スタンプ連打してくるから(了解)と送った直後に部屋に連れ込まれる。
「ちょっと…!享さん居るんだから…っ」
「わかってる」
全然わかってないよ、こんな強引なキス。
焦る舌先……噛んであげようか?
今朝キス教えたところでしょ。
甘噛みして中断させる。
「怒ってるならキスしないで」
「やだ……今すぐ俺だけの十和子になって」
急に呼び捨て。
真剣な顔して身動き取れなくする。
一颯くんの部屋に居たらおかしいって思うじゃない。
早く下に降りなきゃ。
「手、離して」
「無理、我慢出来ない」
抵抗…?しないけど困るな。
今度は優しく絡ませてくる。
離れたら耳を甘噛みし、そのまま首筋へと唇が這う。
「お兄〜ちゃん!あっ……」
突然開いた部屋の扉に2人ともビクッとして声も出なかった。
絶体絶命で言い訳すら出来ない諸事の最中だ。
「ごめんね〜」と静かに出て行こうとする有紗より早く、一颯くんを押し退けて私が出て行った。