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狂愛の巣窟
第9章 【狂愛の巣窟ー最終章Ⅰー】





2人きりになるとほんの数秒で獣のように交わるのね、私たち。
我慢ばかりさせているから余計そうなっちゃうのかな。
乳首を勃たせてくるからもうおしまい。
吐息と共に離れたら今度は熱い視線が絡み合う。




「十和子さん……」




簡単に“好き”とは言わせない。
もっと警戒しなきゃ。
「いいの?バレても」と発破をかけたらすぐ怯んじゃう。
バレたら終わり、何もかも。
無理やり納得させて出て行かせる。




約束通り1分経てば元の関係に戻る。
「朝ご飯出来たよー」と娘と義理の息子を下から呼ぶ母親の顔になるのだ。




「もうすぐママの誕生日だね」




「うっ…!あまり嬉しくないけどね」




朝ご飯を食べながら有紗がぶっ込んでくる。
おそらく何か用意している男たちは聞いているようなフリをしてソワソワしている。




「享パパは何を用意するのかな〜?」




「有紗、変な事言わないの、普通に家族で過ごして終わり!それが一番嬉しいの」




「ダイヤの指輪?旅行?車はもう要らないし……えーと…」




テーブルの下から斜め前の脚を蹴る。
アイコンタクトでやめなさいと訴えた。
急にいつもとんでもない事言い出すんだから。
享さんも苦笑い。
そんなのお構いなしにニヤニヤする有紗は。




「あっ!そうだ、赤ちゃん!」




ブハッ!と夫婦同時にお茶を吹き出しかけた。
完全に無垢な少女を演じている。
仰天する一颯くんにさえ追い打ちだ。




「ね、お兄ちゃん!妹か弟欲しいよね!?」




「は、はぁ!?いきなり何言い出すんだよ」




明らかに動揺してる3人にわざと空気を読まない有紗の思考回路はもう知ったこっちゃない。
ママまだまだイケるよって何を根拠に。
その話題はなかなか核心を突いて来なかったけど。




「ハハハ、有紗ちゃん色々アドバイス有難うね」と笑って言った後に享さんは少し真面目な顔をして私に身体を向けてきた。




「この流れで言うのも申し訳ないんだけど……その日もしかしたら出張になるかも知れないんだ」




“子供作ろう”とか言われたらどうしようかと見構えていたけど拍子抜け。
何だ、そんな事か。











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