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狂愛の巣窟
第2章 【主人の会社の方と…】





夕飯にかかる時間は大抵40分〜1時間あたり。
食材入れて放ったらかしててもメインが作れる便利な家電もあるので。




遊び放題なんて言わないでくださいね。
手のかかる子供が居ないから楽してる…なんて言葉は聞き飽きました。
仕事しようにもそもそも享さんが許してくれないので。
私自身も社会と繋がっていたいとは思わない派ですね。




けど毎日が充実してる。
時間はつくるものですから。
普段からこのような格好で出歩くのでご近所さんにも変な目で見られる事もありません。
近くのコンビニも、スーパーだって気を抜かない。




ヤリスクロスが駐車場から出て行く。
運転席の窓は開けてあるのですれ違うご近所さんには挨拶や会釈で通る。
後ろから駆け足で車を止めてきたのはご近所の田中さん。
だいぶお年寄りなのに走ってきたからびっくりしてブレーキ。




「コレ持っていきな」と渡されたのは袋に入った立派な梨。
後ろから奥様に「迷惑だよ」と引き止められていたものの私が此処へ嫁いできてからずっと贔屓してくれていて何かと物をくれたりする。




「あ……今からちょっと出掛けるので、でも夕方取りに行って良いですか?美味しそう…」




人に甘えるのは得意なんだと思います。
こうしてお年寄りも掌で転がしてますから。
嬉しそうに「取っとくよ」と笑ってくれる。
奥様にも頭を下げて手を振って車を走らせた。




うん、車内に梨は置いておけないわ。
信号待ちで携帯に“田中さん家に梨”とアラーム設定しておいた。
そして私は指定された場所である人と待ち合わせをしている。







「ごめんなさい、遅れて」




約束の10時には5分ほど遅れてしまいました。
途中で連絡は入れていましたが待たせた事に誠実に謝罪する。
それで怒られた事はないけど結構コレ、男心を擽るみたいです。
必死に謝って顔色をうかがう仕草。
今日は何でも言う事聞きますって顔するの。




「全然待ってないよ、俺も今来たとこだから」




そう言って私の背に回す慣れた手つき。
この為に有給でも取ったの?
フロントで鍵を受け取りエレベーターに乗るまで何もかもスマート。











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